「夫が浮気をしているかもしれない」
そんなときには夫の車やバイクにGPSをつけたりスマホ、携帯電話の位置情報を使ったりして行き先を調べ、浮気調査をしたくなりますよね。
GPSを勝手につけて行き先を調べるのは「プライバシー権の侵害」などの違法行為にならないのでしょうか?
今回は、夫にGPSをつけて浮気調査することについての問題点を検証していきます。
Contents
1.浮気調査でGPSをつける意味
夫の行動が怪しいとき、どこに行っているのかを把握できると浮気調査をしやすくなります。浮気している人は、同じ行動を繰り返すケースが多いためです。たとえば浮気相手の家で会う習慣になっていたら、夫は同じような時間帯に浮気相手のマンションなどに行きます。ホテルを使う習慣があったら、同じような時間帯に似た界隈のホテルに入るでしょう。
夫のGPSで深夜にしょっちゅう浮気相手のマンションやホテルに数時間滞在していることが明らかになったら、その記録自体が浮気を推測させる証拠となります。
2.浮気のGPS調査の方法
夫にGPSをつけて浮気調査を行う方法は、主に2種類があります。
2-1.夫の車やバイクにGPS機器を取り付ける方法
1つは夫の使っている車やバイクにGPS機器を取り付ける方法です。夫が車やバイクで浮気相手のいるマンションなどに向かい、駐車場などに長時間止めていたら浮気の証拠となります。
通常、探偵事務所に浮気調査を依頼した場合には、本格的な尾行調査を行う前に車やバイクにGPSを仕掛けて数日間の行動を観察します。その行動パターンを分析してから狙い撃ちで実際の尾行調査を行い、効率的に証拠写真などの獲得を目指します。
2-2.夫のスマホの位置情報を確認する方法
もう1つは夫の携帯やスマホのGPS機能を使う方法です。夫が浮気相手のマンションやホテルにスマホを持ち込んで数時間や一晩移動がなければ、夫が浮気している証拠となる可能性があります。
GPS調査の違法性は、車やバイクにGPSをつける場合とスマホのGPS機能を使う場合とで大きく異なってくるので、以下でそれぞれみていきます。
3.車やバイクにGPSをつける場合
まずは車やバイクにGPS機器をつける場合の問題点を検討しましょう。
3-1.プライバシー権の侵害とは評価されにくい
位置情報は「プライバシー情報」です。勝手に他人が見ると「プライバシー権侵害」となる可能性があります。
ただ、プライバシー権も無制限に認められるわけではありません。奥さんの方に位置情報を調べる正当な理由があれば、夫のプライバシー権侵害とならない可能性があります。
夫が浮気をしている可能性が濃厚で、その真偽を調べるためであれば、正当な目的があると言えるでしょう。
そこで、浮気調査のために車やバイクにGPSを仕掛けてもプライバシー権侵害として違法になる可能性は低く、夫から損害賠償請求される心配は不要です。
探偵事務所が奥さんからの依頼を受けてGPS機器をつけて行動調査することも、同じく違法性が認められないと考えられています。
3-2.器物損壊罪にもならない
車やバイクが奧さん本人ではなく夫名義の場合、勝手にGPS機器をつけると「器物損壊罪」となるのでしょうか?
その心配もいりません。夫婦間では多くの財産が「共有」となるためです。たとえ夫名義の車やバイクであっても奥さんにも半分の権利があるので、そこにGPS発信器をつけるのは奥さんの自由です。
夫から「器物損壊」と言われて訴えられるおそれもありません。
車やバイクが会社などの他人名義の場合
ただし車やバイクが会社名義や友人名義など他人名義の場合、GPS機器の搭載が持ち主の権利への侵害となります。すると所有者から器物損壊罪で告訴されたり損害賠償請求されたりする可能性があります。
4.スマホのGPS機能を使う場合
一方、夫のスマホを使ってGPS調査をするときには違法になる可能性も高く、注意が必要です。
4-1.アプリをインストールしなければ違法性はない
夫のスマホを使って位置情報を調べる方法には、2種類があります。1つはスマホ自体の位置情報機能を使う方法、もう1つは位置情報検索アプリを使う方法です。
アプリを使わずに、もともとスマホに入っている位置情報サービスを利用する場合やスマホにもともと入っているアプリを利用する場合には、基本的に違法性はありません。
たとえばGoogleの位置情報サービスを使ったり、子ども用携帯の「位置ナビ」などのサービスを利用したりする場合です。
ただこれらのサービスを利用すると、スマホの画面上に「位置情報サービスを使われている」と表示されるケースが多いので、本人に気づかれてしまう可能性も高くなります。
4-2.アプリをインストールすると犯罪が成立する
スマホで位置情報を確認するとき、問題になりやすいのはいわゆる「浮気調査アプリ」を利用するケースです。浮気調査アプリを夫のスマホに仕掛けると、夫の行き先を詳細に知ることができます。位置情報だけではなく電話帳や通話履歴まで確認できるアプリもあります。
しかしこのようなアプリを夫のスマホにインストールすると、犯罪が成立する可能性が高まります。成立する犯罪は「不正指令電磁的記録供用罪(刑法168条の2の2)」と「不正指令電磁的記録取得罪(刑法168条の3)」です。
これらは、コンピュータウイルスについての犯罪です。他人のパソコンやスマホなどの端末にウイルスを仕掛けたり稼働させたりすると、成立します。
他人のスマホにアプリを仕掛けることも、ウイルスを入れるのと同じ扱いになるので、上記の犯罪が成立してしまうのです。アプリを仕掛けたときの「供用罪」の刑罰は3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑、アプリから情報を取得した場合の「取得罪」の刑罰は2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑です。
これまでに、実際に浮気調査のために妻のスマホに勝手にアプリを仕掛けて情報を取得した人が、逮捕されてしまった事例もあります。
4-3.勝手にログインすると不正アクセス禁止法違反に
アプリなどを使って夫の位置情報にアクセスするとき、PC上などから夫のIDやパスワードを使ってログインするケースがあります。その場合には「不正アクセス禁止法」という犯罪が成立してしまいます。不正アクセス禁止法とは、他人が勝手にIDやパスワードを使ってネットワーク上の情報にアクセスしたときに成立する犯罪です。
刑罰は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金刑です。
ウイルス供用罪や情報取得罪、不正アクセス禁止法違反などについては、たとえ「浮気調査の目的」という正当事由があっても違法性を阻却されません。逮捕されて処罰される可能性がありますし、夫から損害賠償請求されるおそれもあるので、やってはいけません。
5.住居侵入罪の可能性について
夫と別居しているケースでは「住居侵入罪」にも注意が必要です。たとえばスマホにアプリを仕込みに行ったり、車やバイクにGPSを仕掛けるために勝手に敷地内に入ったりしたら住居侵入罪が成立してしまう可能性があります。
刑罰は3年以下の懲役または10万円以下の罰金刑です(刑法130条)。
以上のように、通常探偵事務所が行っている車やバイクのGPS調査については法的問題が少ないのですが、スマホを使ったGPS調査は大きな危険を伴います。自己判断で行うと危険です。
確実に証拠をとりたいときには、プロの探偵事務所に依頼しましょう。
「探偵事務所に相談するのは怖い、怪しい」と思われる方もいるかもしれません。
そんなとき、弁護士が運営している探偵事務所があります。弁護士であれば法律にも詳しいですし、クリーンな運営をしているので安心できるでしょう。
もしよかったら一度問合せをしてみてください。うまくいくことをお祈りしています。
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